ずっと完璧じゃなきゃ生きる資格がなかった。
だから失敗する度に、次は100点になりますと誓いをたてるように人生をリセットしたくなるのだ。
ずっと人生のリセットボタンを探していた
あれは大学1年生の終わりか。
自分の人生が心底嫌になって、人生をやり直させてくれる魔法のボタンを探してた。
それほどに自分の過去のすべてを否定してわたし自身を一度捨て去りたいと強く願っていたのだ。
「自分は変われるかもしれない」と40万以上する美顔器のローンを抱えた。
「なにか自分の価値があがるかもしれない」と大学もまともに行けない体調の中、ダブルスクールに通った。
増えた体重を落としたら自信が返ってくると信じてパーソナルジムに通った。
〇〇をしたら摂食障害を克服しました!と話す赤の他人の話を聞いて「自分もこれで人生が変わる!」と目を輝かせた。
これで人生またやり直せるかもしれない。
変われるかもしれない。
あの子みたいになれるかもしれない。
こんな自分を捨てられるかもしれない。
今度こそは。
今度こそは。
残ったのは大量のローンと変わらない日常
振り返ると人生リセットボタンを求めて100万以上のお金を費やしてきた。
自分の必死さに心が痛む。
当時のわたしには、徐々に変わることを待っている余裕も体力も気力もなかったのだ。
当然ながら人生のリセットボタンなんて存在しない。
むしろ、大金を使ってまで変わろうと試みたのに、変わるどころか更に深い闇に落ちた。さらに自分の生きる価値がなくなった。
他人の力にすがっても立て直しができない自分が憎い。こんな自分のために死ぬのすらめんどくさかった。「いっそ自分の存在がなかったことになれ」とカーテンも開かない部屋の隅ですすり泣いた。
これで変われると思ったのに。
1から人生やり直せると思ったのに。
あの子みたいになれると思ったのに。
こんな自分を捨てられると思ったのに。
またできなかった。
変われなかった。
美顔器で顔がほんの少しすっきりしたからって、わたしは変わらず昨日の続きを歩んでいる。ダブルスクールで学んだからって大学でのトラウマは今日も変わらない。
パーソナルジムで体重が落ちたといって自信は湧いてこないし、むしろようやく緩んだ食ルールを再動させることで症状が再発した。
何をやったら救われるのか、誰かに教えてほしかった。ありもしない答えを求め続けて疲れ果てた。
でもひとつだけ得たことがあったのだ。
これだけやっても、変わらず昨日の自分は今日も生きていることに気づいたのだ。
誤解してほしくないのだけど、40万の美顔器やパーソナルジムや専門学校を批判している訳ではない。目的や期待値が間違わなければ手段として適切なものだと思ってる。(まぁ誇大広告はどうかと思うけど)
実際にわたしの摂食障害を和らげるきっかけの1つもホットヨガなわけで。ただ、ヨガも美顔器もジムも学校も人生をやり直せるリセットボタンとしては機能しないという話。
昨日の延長線上に今日のわたしがいる
この世に人生を変えてくれる魔法のリセットボタンなんて存在しない。高すぎる理想で穴を埋めようとする出費は心を大きく傷つける。
すぐに変われるもんなら、金で買えるもんなら、今ごろ苦しんでない。信じたくないのだけど、これが真実なのだ。
そう、頭では日常の繋がりが未来だと知っている。だけど、それを知ったらこの人生を頑張れる気がしないから、この一瞬だけでも輝かしい未来をあきらめないために手を伸ばしたくなるのだ。
わかりやすいものに、「未来」や「安心」が保証されているものに、助けてほしくなるのだ。
未来の虚像を追いかけるより、昨日の自分を助けるなら今日のわたしは何を手に取るだろう。
竹口和香
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